1.今、ネットショップに参入すべきか
欲しいものが欲しいときに買える世の中になりました。街まで出かけなくても、電話帳で専門店を探さなくても、パソコンやスマホで検索すればあらゆるものがすぐに見つかる時代です。この10年余りでEC(電子商取引)市場は著しい発展を遂げましたが、「もう頭打ちかな?」「今から始めても遅いかな?」なんて思っていませんか?
実は日本のBtoC(小売業)におけるECのシェア率は、10%に遠く及びません。まだまだ9割以上の商品が、実店舗で売買されているんです。この先10年後も、このシェア率のままだと思いますか?
新型コロナウイルスは経済にとって大きな脅威となりました。在宅率が高まり、小売店に足を運ぶ人の数も減りました。そんな中、成長を加速させているのがEC市場です。販売量が増えたのはもちろんですが、この機会に新規出店も急増しています。今までインターネットで買ったことがなっかた人や、売ったことがなかったお店が、どんどん参入してきているんです。これは、まだまだ伸びしろがある市場であるという、期待の現れです。
2.ネットショップ出店のハードル
ネットショップで販売してみたいけど躊躇している人。その理由は何でしょうか?
・コンピューターが得意ではない(操作が難しそう)
・品数が少ないので、出店料や手数料がもったいない
・送料を安く抑える手立てがない
・そもそも、売れるかどうかわからない
そんな方に、おすすめの方法があります。
自社の商品を試しにネットショップに出品したい場合、一番簡単で費用もかからない方法は、ネットショップを運営している店舗に売ってもらうことです。Amazonや楽天市場に出店するというのではなく、すでに出店している人のアカウントで、代わりに売ってもらうんです。
商品ページは作ってもらえますし、受注管理もお任せできるので、自分は商品を提供するだけでOKです。直接出店するわけではないので、出店料や手数料はかかりません。ネットショップを運営している店舗なら送料を安くできる手段も熟知しているでしょう。手ごたえがなければ、いつでもやめられます。一定量を買い取ってもらえるのが理想ですが、注文が入った分だけ商品を提供する委託販売形式だと、承諾してもらえる可能性はぐっと上がると思います。
3.ECモールに出店している店舗を探す
具体的にどのような店舗に委託するのが良いのでしょうか?
国内BtoCのEC市場を引っ張っているのは、Amazonと楽天市場の2大モールです。その両方に出店している店舗が良いでしょう。独自サイトを運営している店舗もありますが、自社商品を全国の消費者に幅広く知ってもらいたいのなら、モール型のECサイトに出品できるのが一番効果的です。
そして、商品ページの文言や画像、売価設定などについて、細かく相談できる店舗を探しましょう。あなたの商品のセールスポイントを一番わかっているのはあなたです。知名度がある企業の方が安心かもしれませんが、何千点もの商品を扱っている企業だと、そこまで細かくページを作り込んでもらうことはできないかもしれません。
中には手数料を取って「ネットショップ販売代行」という形態の企業もありますが、費用ばかりかかっても仕方がありません。商品は基本的に卸すだけで、余計な費用を要求してくる企業は避けた方が良いでしょう。
一番良いのは、同じ市町村にある店舗です。直接相談ができますし、商品の提供もスムーズに行えます。「そんな店舗はない」なんてことはありません。今の時代、どんな地方でもネットショップを運営している企業(個人事業主)は必ずあります。むしろ、実店舗の客数が少ない地方ほど、ECに対する期待値は大きいのです。
このように、費用を負担してAmazonや楽天市場に出店しなくても、パソコンが苦手でも、ひとまずはECの世界に自社の商品を送り込むことは可能です。そこで大きな反響があれば、それからご自身で出店しても遅くはありません。
4.売ることは簡単ではないが売れないことはない
10年ほど前は、「楽天市場に出店すれば売れる」という根拠のない幻想を抱き、出店後に思うように売れずに撤退していく店舗が後を絶ちませんでした。実際のところ、ECモールに出店して商品を載せておけば放っておいても売れる……なんてことはありません。「じゃあ、うちの商品も売れないな」と簡単に諦めてはいけません。すでに出店しているショップに卸すことのメリットが、ここにあります。
ネットショップに関してまったく素人のあなたが、高い出店料と手数料を負担してECモールに出店しても、おそらく売れません。そこで慌てて高額なECコンサルタントに相談して、ほんの少し売れるようになったとしても、出店料、手数料、コンサルタント料を回収できるほどの利益は捻出できないでしょう。これは、非常にリスクが高い選択です。
しかし、すでにECモールに出店していて、実績のある店舗であれば「売り方」を知っています。商品ページに掲載した時点で店舗にとっては自店の商品ですので、あなたの商品を積極的に販売してもらえるはず。まさにwin-winの関係です。結果的に売れなかった場合でも、あなたのリスク(費用負担)は発生しません。
5.引き受けてもらえる店舗はあるのか
そもそもこんな条件がいい話を、引き受けてもらえるのでしょうか?
商品を提供する側からすると、ノーリスクで専門知識も不要。その上、全国に展開できるという好条件です。当然のことながら、売る側にもメリットがなければ提案できない話です。
ネットショップを運営している店舗が探している商品は、世間で流行している商品でも有名ブランドの商品でもありません。そんなものは、価格競争で大手に敵いません。彼らが探しているのは、唯一無二の商品。ここでしか手に入らない商品です。
今までこの世になかった完全オリジナルの商品である必要はありません。似たような商品がたくさんあっても、ブランド品のように高級感がなくても、どこか一部がほんの少し違うだけでセールスチャンスはあります。ほかのお店では売っていない色だったり、一般的なサイズより、少しだけ大きかったり小さかったり。それを探している人が必ずいます。
ですから、出品する前に「売れないだろうな」と決めつけずに、まずは相談してみてください。
6.委託する場合の注意点
今回紹介した仕組みは、店舗があなたの商品を買い取ってネットショップで販売するという、非常に単純なものです。委託する側のあなたは、販売に関する知識は不要ですが、店舗の事情を知っておく必要があります。
たとえば、あなたが店舗に1,000円で卸した商品を、ネットショップ上で送料込2,000円で販売していたとします。これを見たとき、知識があれば「ほとんど利益を取っていないな」と思いますが、知識がないと「1,000円も儲けやがって」となってしまいます。
店舗がECモールに支払う手数料はモールによって異なります。概ね10%、高い場合は15%にほどになると考えてよいでしょう。そして、送料無料で販売している商品は、送料を店舗側が負担しているということです。これも大きさや配送先によって異なりますが、どんなに安くても1個当たり500円から700円程度はかかるものです(メール便等除く)。こうなると、1,000円で仕入れたものを2,000円で販売した店舗の利益は非常にシビアなものだということがわかると思います。
「え?ネットショップって儲からないの?」って思われるかもしれませんが、そうではありません。高額な商品であれば送料負担率も下がりますし、安価な商品でもセット販売やメール便などを使う工夫ができます。Amazonは月額固定費は少額ですが、1個当たりの販売手数料は高め。そのかわりFBAなどで販売を自動化、格安送料で梱包まで委託できるメリットがあります。楽天市場は月額固定費は高めですが、売れれば売れるほど販売手数料の負担は小さくなります。これらのバランスを考えて運営することで、利益が出る仕組みになっています。
これらの事情を少しでも知っていれば、店舗側との交渉もスムーズになると思います。
今がネットショップ進出のチャンスなのに、二の足を踏んでいる人。難しく考える必要はありません。自社(自店)の商品を今すぐ全国に発信しましょう。
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